電動バイク製作


電動バイクと言うと日本では殆ど普及されていない乗り物ですが、隣の国では日本とは逆で原付バイクと言えば、殆どが電気式です。私も電気で走る飲み物が好きで 乗ってみたくなりました。と言ってもそのまま輸入しても面白くないので、2010年辺りに自分設計のオリジナルの電動バイク一台が欲しくなって、一台作ることに しました。

車体は台湾製ですが、この車体にインホイルモータを取り付けるようにオーダーメイドで兵庫県にある電動乗り物を開発をする会社にお願いしました。 バッテリは48V/20Aの鉛蓄電池を同時に購入しましたが、バッテリだけで約30kgの重さがあります。車体を手に入れて一番驚いたのは、エンジンがないので、 バッテリを外すと、原付バイクなのに、自転車に比べて少し重いくらい車体が軽かったです。鉛バッテリなので、殆どの重量はバッテリです。

さて、個人的に一番こだわったのは何よりもインホイルモータです。下の写真がインホイルモータを取り付けた状態です。


後輪そのものがモータになっています。ついでに内部構造も紹介します。以前車体を購入した会社に共同開発の話で伺った時に分解したモータがありましたので、 写真を撮りました。
電動車椅子や電動アシスト自転車でたまに日本製を見かけることがありますが、その殆どがモータを遊星歯車などの減速機で減速させてタイヤを回す構造が多いです。 それを見て、いつも日本の技術者は歯車等のメカ式構造が好きなんだなと感じました。
実は中国製インホイルモータは歯車などの機構が一切ありません。電気式で減速して高いトルクを得ています。私が電気式減速機が好きな理由は、歯車等の金属の 塊ががないので、重量が軽くなるからです。それに動力伝達ロスも少ないので、節電にも繋がります。

電気式減速機と言ってもピンと来ないかも知れませんが、軸に固定されている電磁石の数に秘密があります。他のモータと同じ3相モータですが、電磁石が48個もあります。 48は3の16倍なので、通常の3相モータより16倍トルクが強いとことです。その代わり、回転する磁石の移動距離が1/16しかないので、速度が16倍遅くなります。結果的に 3相モータに16:1の減速歯車を付けたのと同じ効果が得られます。

そして、一番の楽しみはモータを回すインバータ(速度コントローラ)を自分で作ることです。とりあえず、一回目の試作として回路図レベルまでではありませんが、 ブロック図程度にしたのが下の絵です。


同じ電子回路技術者から見ると突っ込みがいろいろあるかと思いますが(笑)、とりあえず最初の試作なので、最低限の機能と保護回路しかありません。何故かと言いますと 手作業での組み立てとユニバーサル基板で作るので、回路規模は最低限のシンプルさを求めたからです。



この写真で分かるように、中国製電動バイクは殆どが回生ブレーキがありませんが、今回回生機能を付けました。回生ブレーキとは、下り坂でモータが発電した電気を 電池に戻すことで運動エネルギーを電気エネルギーとして回収するブレーキです。モータが発電中は負のトルクがかかりますので、回収された電気エネルギー分だけ減速 する仕組みです。
電動乗り物は回生ブレーキが非常に魅力的です。加速時に使った電気が減速時に電池に帰って来るからです。ガソリン式だと加速時に使ったガソリンが減速時にガソリンタンクに 燃料が戻って来ることはありませんから(笑)

さてと、この試作1号機で早速動作確認しました。

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1号機インバータで普通に走ることはできますが、課題はスイッチング周波数が10kHzにしたため、モータからキーンと言う騒音が聞こえる。それと回生ブレーキが 弱いことでした。
そして2号機インバータで、もう少ししっかり作ろうと思いました。スイッチング周波数を可聴域を離れた20kHzに設定し、回生ブレーキもモータ内部で直接昇圧 する方式にしました。



2号機からは感光基板の作り方が慣れて来たので、感光基板で作ることにしました。CADソフトで銅箔データを作り、それを透明フィルムに印刷して、感光基板に 貼り付けて紫外線で露光します。その後現像液で洗い流して、エッチング駅で不要な銅を溶かせば綺麗なオリジナル基板ができあがります。 CADソフトでそのままガーバーデータを吐き出して、ガーバーを基板メーカに送ってちゃんとした基板を作ってもらうこともできます。

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2号機は回生ブレーキを強めにしましたので、モータが発電した電気がしっかり電池に戻って来るか確認するために双方向電流計を自作してテストしました。 力行(加速時)時は電流計が右に振れ、回生(減速時)時は電流計が左に振れます。

これでモータを回す部分は一旦完成とし、次はライト系を全部LEDにすることにしました。古い車体なので、全てのライト系が白熱電球なので、これをLEDにして 少しでも消費電力を下げるのも一つの目的ですが、2010年ではまだ自動車もLED化が進んでいないので、特にヘッドライトとかLEDにするとどうなるのか先に実験 して見たかったです。


ヘッドライトはパワーLED二つをそれぞれ反射板の焦点距離近くに配置しました。一応ハイビームとロービームそれぞれ光軸は出ていて、走るには問題ない程度 でした。でも3W(約250ルーメン)ではちょっと暗い。自動車のロービーム基準の40m先まで光が届きますが、原付バイクは車検対象外なので、今回これで我慢(笑) 他にもメータ内のインジケータやブレーキランプ、方向指示灯もすべてLEDにしました。




そして完成したのが下の写真です。全てのライトを点けて夜に撮影しました。下の右側がLEDに交換したブレーキライト、ナンバープレートライト、方向指示灯の 動作確認動画です。


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そして、いよいよ初走行です。当然道路で走行するにはナンバープレートが必要になりますので、これは区役所で申請すれば当日にもらえます。日本の法律では電動の 場合、モータの定格電力600W以下までは原付1種として登録できます。ガソリン式と同じで車体番号とモータの定格電力資料があれば同じ原付として登録できます。 ここで法律の不思議な部分に気が付きましたが、ガソリン式バイクなら排気量50cc以上は400ccを基準に普通二輪と大型に分かれますが、電動の場合は基準は600Wの 電力のみです。600W以上は普通二輪とか大型の基準がなく、普通二輪免許で大型電動バイクに乗れること!?
逆に600W以下も基準の数値がありませんので、仮に10W程度の小型モータをベビーカーに搭載して歩く速度でゆっくり走行しても自走さえできれば免許とヘルメットが 必要!?ちょっと矛盾するような面白い法律!?(笑)

私もモータの定格出力が600W以下なので、原付1種で登録して、ナンバープレートを付けて走行してみました。

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